TOEIC を活用した英語カリキュラム
山口大学では, TOEIC試験を取り入れた英語新カリキュラムを平成14年度から実施しています。
本学におけるTOEIC導入は平成6年に遡り,経済学部に設立されたTOEIC実行委員会が全学に門戸を開く形で,TOEIC学内試験を実施していましたが,そのTOEICをカリキュラムの中心に据えて,実践的コミュニケーション能力育成という社会的ニーズに応えるとともに,在学中に自ら学ぶ力を育み,卒業後も必要に応じていつでも学習を再開できる学生を育成したいと考えました。そこでは習熟度別のクラスが完全な形で実現され,多様な入学者にもそれぞれに最適な授業を用意するとともに,クラス間を横断する統一的な尺度としてTOEICスコアを利用することで,成績評価は厳格に行われています。それにより,卒業生に対して最低限の英語能力を保証する方法も確立しました。
この新カリキュラムの下で,英語教員が全員で協力し合ってテキストや指導方法を改善しつつ,すべての学生が到達可能な目標水準を段階的に引き上げて行こうと努力しております。
それでは,新英語カリキュラムの概要を下の図を用いながら紹介しましょう。
1)TOEIC受験の前に
新1年生は,入学後最初に,全員が例外なくTOEIC準備を受講します。これは8週間のクォータ制授業で,TOEICの意義を知り,その学習法と英語学習習慣を身につけることを目的としています。TOEIC各パートの特徴と,受験に必要な知識・技術を確実に伝えるため,統一シラバスに従いすべてのクラスが同一の内容と進度を保って実施されています。本学教員自己開発のテキストには,付属CD4枚分のリスニング課題が宿題として用意されています。クラスは30-40人の中規模編成です,自習課題ノートを利用することで個別指導の要素を強く取り入れており,本学の目指す転換期教育のモデルともなっています。
2)習熟度別クラス編成
TOEIC受験はプレースメント機能を持ち,受験後はスコアに応じて受講コースが決まります。共通教育の到達点はTOEIC600点の水準と規定され,そこまでがベーシック・レベルです。さらに,400点を境に下がキャッチアップ・レベル,上が上位ベーシック・レベルに分類されています。すなわち,600点を目指しつつ,すべての学生が卒業時に400点に到達することが共通教育の目標になっています(現時点では,卒業要件は学部学科により300-400点の間で違いがあります)。
「学生中心の教育」という本学の教育理念を実現するためには,一人一人に最適な英語教育を施すことが必要です。この新カリキュラムにおいては,入学者は全員TOEICを受験して,自己の英語力を数値化して把握しており,4層に分かれたカリキュラム上で,それぞれの習熟度に応じた授業が展開されています。各自がその時点ですぐ上のレベルを目指すことで,在学中から卒業後まで一貫して具体的な学習目標を持つことができるわけです。
3)350点未満
最初のTOEIC試験でスコアが350点未満の学生は,引き続き基礎科目の「TOEIC指導」を受けなければなりません。この授業は,学習指導を中心とした少人数クラスで,8週間ごとに常時連続開講されています。少なくとも350点に達しない限り合格できず,次の授業を受講することもできません。合格まで何度も繰り返し受講する必要があるため,内容は統一せず,各教員の創意工夫に任せられています。むしろ,WEBシラバスに各クラスの授業内容を詳述し,重複を避けて無駄のない指導がなされていると言えます。合格基準は厳格な授業ですが,学生授業評価によると受講生の満足度はとても高いようです。
4)350〜395点
350点を超えると「TOEIC指導」の単位は認定され,次に展開2科目の「英語基礎文法」と「English Speaking」を受講します。「英語基礎文法」は,近年の学生の弱点である文法と語彙力養成科目であり,指定された宿題の達成度を調べるため,授業内テストが毎回実施されます。「English Speaking」は,16年度導入予定で,TOEIC試験に欠けている「話す」能力を育成する授業です。少人数クラスに編成された学生たちは円形に座り,ペアを作ります。フォークダンスのように数分ごとにパートナーを変えることで,スピーディに授業が展開され,受講生は常に新鮮な気持ちで英語を話し続けることができます。さらにe-learningによる宿題が課せられており,文法やReading能力も同時に養成されます。従来の英会話授業は,授業中に話す絶対量が少ない上に時間外学習もなく,多少の度胸はついても英語力が伸びないという弱点があったように思われますが,それを克服した新しいタイプの授業です。
5)400点以上
400点到達により,本学の求める最低水準は達成したとみなされ,「TOEIC指導」と「英語基礎文法[1][2]」に相当する3単位が認定されます。残り2-4単位分の授業を受講して,さらに力を伸ばすことを目指すことになります。Native Speaker教員が4技能の本格的訓練を行う「Comprehensive English」のほか,各自のレベルと興味に応じて展開1科目のさまざまな授業から選択履修します。自発的にTOEICを受験して「TOEIC認定500・600」により単位取得することもできるようになっています。
6)600点以上
600点を超えると,共通教育の求める水準を達成したとみなされ,必修単位はすべて認定されて,自学自習による英語学習に移行します。必要に応じて共通教育の授業が自由履修できるほか,高レベル向けのアドバンスト授業各種も外国語センターによって導入されています。アルクNetAcademyやGLC英会話などの学習教材や,BBC,CNNといった英語放送番組がネットワーク上で配信されており,手持ちのノートパソコンを接続することで,常時利用可能になっています。